中日協力で5G時代構築 製造面の相互補完性生かして

2018-11-28 15:27:52

文=陳言

北京の四環路から中関村に入ると、グーグル、インテル、マイクロソフトの巨大なロゴマークが目に飛び込んでくる。しかし、米国の通信技術(IT)企業だけがここに集まっていると考えてはいけない。日系企業も少なくない。林立する現代的なオフィスビルの中から、NTTドコモの研究センター、日立研究開発公司、リコーソフトウエア研究所などが見つけられる。

ドコモ(北京)通信技術研究センターには今、40人余りのスタッフがいる。グーグル、マイクロソフトは100人以上、数百人規模であり、比較にならないと思われがちだが、周辺のIT企業と比べて、同センターは遜色ない実力を持っている。

5Gと協創(協力創新)は私たちの研究センターの重要な特長です」と、同センターの陳嵐理事長は語った。通信とITの領域で、陳氏のチームは現在、中国企業との協創を模索している。

 

中日企業にそれぞれの思い

中日企業は共に創新イノベーションを追求しているが、両国の創新の特徴はやや異なっている。日本は製造、原材料面の創新が比較的多いが、中国はITとIT関連の金融面に比較的に多くの創新企業が集中している。

9月に、筆者は日本で著名なあるテレビ企業を取材した。その4K、8Kテレビに関する研究開発から見て、この企業は主な精力をテレビ本体の研究開発と生産に注いでいて、テレビのハイビジョン番組、生産技術部分の改善を通して、テレビにさらに節電、環境保護の機能を付加し、廃棄する際に、再利用できる部品を回収して、環境負荷を最小限にしようとしている。テレビ生産、研究開発に専心する日本企業は敬服に値する。

中国企業の中にも、日本企業のようにテレビ生産に専心しているメーカーもあるが、多くのテレビメーカーは新しいテレビ生産と使用パターンを求めている。例えば、四川省成都市にあるインテリジェンスプロジェクターのメーカー、極米科技有限公司がある。同社はハードウエア+コンテンツプラットフォーム+光学基礎技術的産業を中核事業とする「ニューエコノミー」企業だ。

極米の製品製造は日本企業と全く異なっている。2015年6月、極米は京東商城(JDコム)と協力して、京東で新製品のZ4Xのクラウドファンディング(インターネット経由で不特定多数の人々から資金調達を行い、商品開発や事業などを達成する仕組み)を募集したところ、Z4Xはまだ出荷前だったにもかかわらず、1100万元の応募があり、各種の記録を刷新した。京東は大量のユーザーの画像と書き込みに基づいて、極米に「ユーザーがスクリーンテレビを購入する場合の留意点」をレポートにして提供し、価格帯、インタラクティビティー(双方向性)、機能、外観などの面で重要なアドバイスを行った。極米は京東のアドバイスによって、Z4Xの外観、輝度および画質、音質を最適化、向上させて、最終的には業界を驚嘆させる爆発的な人気商品を世に送り出した。

閉鎖的な研究開発、モノづくりの道を歩むか、完全にオープンな道を歩むか?中日企業が選択している方式、方法には相違がある。

 

大量のファンを引き付ける

日本企業と比べて、中国の創新企業はITと金融方式でブレークスルーを望んでいる。

例えば、極米製品は、Wi_Fiにつながればすぐ見たいと思う映画を見ることができ、あるいはゲームで遊ぶことができる。これは極米などの創新企業に騰訊(テンセント)、芒果(マンゴー)TVなどの動画プラットフォームとの協力が必須となっている。

IT時代には、企業は大量のパートナーを引き付ける必要がある。極米は百万を超える端末を擁し、この端末プラットフォームにすでに映画、音楽、コンサート、ゲーム、教育と買い物などのさまざまで豊富なコンテンツを集め、極米は今年第1四半期のコンテンツ運営の成長率は288%を超えた。

もう一つ例を挙げれば、9月12日、ナスダックに上場した蔚来自動車(NIO)は、テスラに続いて、米国市場に上場した2番目の純電気自動車(EV)企業となった。2014年11月の創立から上場まで、NIOは4年足らずしか歳月を費やしていない。

 

蔚来自動車(NIO、ニーオ)は912日、ニューヨーク証券取引場に新規上場。手を挙げて喜ぶ会長の李斌氏(手前中央)と社員ら(新華社)

 

NIO創始者の李斌氏は中国で最も自動車が分かるインターネット人と見なされている。彼は車を作り始めてから、投資界、インターネット界の多くのリーダーをはじめ、テンセント、百度(バイドゥ)、京東、小米(シャオミー)、聯想(レノボ)などのインターネット大手だけでなく、高瓴資本(ヒルハウスキャピタル)、紅杉中国(セコイヤキャピタル)、淡馬錫(テマセクホールディングス)、華平投資(ウォーバーグピンカス)、IDG資本、今日資本(キャピタルトゥディ)、中信資本(CITICキャピタル)など多数の第一線投資機関や国有資本の支持を獲得した。

大量のITと金融方式を使用することで、中国企業と日本企業の相違が浮き彫りになっている。

 

開放型のパートナーシップ

日本企業はITと金融方面にさらに近づく必要があり、中国企業はデザインの青写真を製品化する能力を持つ必要があり、関連するコツを手に入れる必要がある。中日は製造面での相互補完性が強く、現在、中日が互いに補いあって早急に確立すべき新技術―5Gはゆっくりと上昇しつつある。

ドコモ北京研究センターの陳嵐理事長は筆者に次のように語った。「ドコモは5Gにおいてオープンパートナープログラムを立ち上げている。言い換えれば、私たちは多数の企業と協力した上で5Gの技術とサービスの発展を促進している。映像、ワンヘルス、旅行、工場自動化の各方面で全て役割を発揮している。ドコモ北京研究センターは設立以来、中国企業と協力関係を構築している。ドコモの5G+AIは、中国現地企業の協創方式で、さらに深く中国市場にも貢献しようとしている」

4G時代は標準が確定してから各国各業界が興味を示し始めたことと違い、5G時代は標準が確立する前にすでに多くの国と企業が参画している。国際標準化団体である3GPPに多数の寄書を提出しており、オペレーターの立場から公正な提言とリードにより、高品質の5G標準をスケジュール通りに完成することに大きく貢献した。

ドコモ北京研究センターは、4Gの標準化推進から技術とノウハウの蓄積があり、これらを5G及びBeyond5Gの発展に貢献し続けている。さらに、周波数のハーモナイゼーション(協調)は大変重要であり、中日間の5G周波数のハーモナイゼーションにも貢献している。例えば、中国政府や研究院、オペレーター、ベンダーと協力し、周波数のハーモナイゼーションの推進とエコシステムの発展に寄与した。「私たちの提言は、日中間のコンセンサスを得て良い方向になっている」と、陳理事長は話していた。

5G時代を展望すると、中日両国の通信、ITの分野の関連技術は一層コンバーチブルになり、製造とITのコンビネーションは一層緊密化するだろう。現在、中日間には関連方面でより多くの協力の基礎が築かれている。

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