中日の人的往来規模の逆転 両国関係に生じた新たな変化

2024-10-31 16:19:00

年の国慶節連休中(10月17日)に日本を訪れた中国人観光客は8月、9月の総数を上回った一方、10月に中国を訪れる日本人観光客数は過去最低となる可能性がある。このような中日間の人的往来における温度差は、ここ数年一貫して見られるものだ。 

中日間の人的交流における変化は、両国民の相手国に対する国家と社会の分析能力を表している。情報化時代において、直接交流は今なお人々が外部の世界を知るための最も重要な方法であり、メディアの報道や学術分析の結果の真偽を確かめる最も手っ取り早い方法だ。 

両国の訪問者数の逆転 

中日の人的往来はおおむね2014年前後に転換点を迎えた。それ以前は中国を訪れる日本人の数が訪日中国人を上回っていたが、この年以降逆転し、その変化は不可逆的なものとなった。訪日中国人の数は新型コロナウイルス感染症のような特殊な要因がなければ、今後変わらず増え続けていくことだろう。 

かつて中国人にとって日本を訪れるのが難しい主な理由は、訪日ビザの取得の困難さだった。1994年、日本の有名大学で教えていた中国人の友人が両親を東京に招こうとしたが、ビザが下りなかったことを覚えている。彼はかつて副総理を務めた政治家に陳情し、その政治家が自ら保証人となったことで、ようやく彼の両親は家族訪問ビザを取得できた。長きにわたり、中国の人々は公務による出張を除いて日本に家族を招くことが難しく、ましてや日本を観光で訪れるのは非常に困難だった。 

2000年以降、中国の一般民衆の所得水準の高まりに伴い、日本は中国人の訪日観光ビザ取得のハードルを一定程度下げ、15年以降には訪日中国人の数が訪中日本人を大幅に上回り始めた。 

 最新のデータによれば、今年18月に中国を訪れた日本人はおよそ68万人、中国大陸部からの訪日者数は459万5000人で、そのうち8月は74万5000人に達し、この月の訪日者数だけで同年18月の訪中日本人の総数を上回った。国土交通省の外局である観光庁が今年1月に発表した関連情報から見ると、日本を訪れる中国人観光客の特徴としては、中国大陸部と香港台湾地区からの訪日者数は日本を訪れる外国人のうち全体の3分の1以上を占めたこと、消費の面では中国大陸部と香港台湾地区からの観光客の消費支出は訪日外国人全体の382%に達したことが挙げられる。消費支出については19年時点で中国大陸部からの観光客だけでも368%、香港台湾地区からの観光客を合わせると556%を占めていたのに比べると若干減少したが、その主な要因は昨年の中国大陸部からの訪日観光が完全に回復していなかったためで、今年の通年の訪日中国人の人数と消費水準は19年の数値に迫るはずだ。 

 ちなみにここで中日両国の相手国における在留者数についても触れておこう。昨年末の時点で日本在住の中国パスポート保持者(大陸部)は約82万2000人だったのに対し、在中日本人の人数はおよそ10万2000人だった。 

 観光客数や在留者数で中国が日本を上回るのは10倍以上に及ぶ人口比からいって自然なことだが、今後の訪日中国人観光客は通年で1000万人を超え、在日中国人も遠くない未来に100万人を突破することが見込まれる。 

次第にずれが生じる中日の相互理解 

 密接な人的往来は中日両国による相手国の国家、経済、社会への理解を強め、親近感を高める。その一方、相手国を訪れる人が少なくなると、人々はメディア報道を通じてその国を理解しようとし、メディアのネガティブな報道が人々の相手国に対する好感度を下げるという新たな現象を引き起こす。 

 国家の対外政策やメディア報道の影響を受け、双方の直接交流が行われない中では、相手国への理解が過激なものに偏ることは避け難い。中国はほぼ一貫して日本にとって最も重要なパートナーであり、中国のような巨大な経済規模を持つ国家が存在したことにより、日本は失われた30年の中で既存の生活水準をおおむね保ち、経済の低迷は一定レベルに留まった。一方、日本国民の対中好感度は年々下がっており、昨年9月に内閣府が実施した外交世論調査の調査結果によると、中国に親しみを感じると答えた人の割合は22年と比較して178%から127%にまで低下し、中国に親しみを感じないと答えた人の割合は818%から867%に上昇して過去最低となり、今年はさらに悪化するかもしれない。中日両国の経済が不可分の関係にある中、日本国民の対中感情に見られるこのような深刻な落ち込みには、両国民の直接交流の減少が一定程度関係しているはずだ。 

中日関係の新たな変化 

 現在、中国では非常に大きな変化が生じた。中国の人々はこれまで主に映画やテレビ、日本を紹介する中国語資料、日常生活の中で使う日本製品、日系企業で働く際に触れ合う日本人を通じて日本を理解してきた。だが、15年以降、より多くの中国人が日本を観光で訪れ、日本の生活を体験することで日本社会を理解するようになった。中国の人々は自国の経済発展と同時に、日本の成熟した発展の経験を学び、日本と平和協力の関係を築くことを望んでいる。 

 もう一つの変化は日本に関する情報だ。日本のインターネット上のさまざまな情報はすぐさま中国に伝えられ、多くの人々に見られる。これらの情報は現地を観光で訪れる以外にリアルタイムで日本を理解する手段となっている。中国の毎年1000万人以上の大学入学者のうち、およそ半分近い学生が第二外国語として日本語を選び、数千万人の大卒者、在校生がある程度日本語に通じている。加えて、翻訳ツールの精度の高まりにより、それらを使えば大半の日本語資料を理解できるようになっている。 

 1000万人近くの中国の人々が日本を訪れる中、日本に関する情報の需要は極めて大きい。中国の人々は日本を訪問し、それらの情報の内容が正しいかどうかを確かめられるようになった。このことも中国人の日本への理解がより高まっている要因と言える。 

 9月、日本の某大学の1、2年生の学生からなる訪中団が北京、上海を訪問した。筆者は彼らに同行して北京の菇車聨(MOGO)公司を見学し、中国の電気自動車(EV)、自動運転、スマート交通分野の最新の研究開発と利用状況を知ることができた。日本は自動車、IT、交通管理で強みを持っており、中国と協力を行う新たな余地を有している。中日が密接な人的交流を行ってこそ、過激な言論を退け、ウインウインを実現できる。 

 今後われわれは真偽を見極め、新たな平和と協力の方法を探し求めていく必要がある。中日間の溝は早急に解消すべきであり、その時はやがて訪れることだろう。 

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