中日のコ・クリエーション 輸入博の新たな注目ポイント
11月5日から10日にかけて上海で開催された第8回中国国際輸入博覧会(以下、輸入博)の期間中、筆者は過去7回と同様に主なブースを参観し、日本企業の出展状況を確認した。
輸入博における日本企業の参加数は、過去2回で第2位となったことを除き、それ以外の全ての回で世界一の座をキープしており、今年は約320社の日本企業が各自の製品やサービスを紹介すべく出展した。日本貿易振興機構(ジェトロ)は数多くの日本の食品企業を取りまとめて日本酒や食品を展示するとともに、生け花とお酒、グルメを組み合わせた展示内容で、大勢の参観者が立ち寄る人気スポットとなっていた。
筆者はこれまでと同じく主に製造業企業を取材し、中国が間もなく「第15次五カ年計画」(2026〜30年)の期間に入ろうとしている中、日本企業は今後、いかにして中国市場をさらに開拓しようとしているのかを重点的に尋ねた。
日本企業にもたらされるチャンス
輸入博の開催前、筆者は複数の日本企業を訪ねて出展内容について取材を行った。その中で各企業に対し、出展予定の製品やサービスについて質問したのち、なぜそれらの製品を出すことに決めたのかを尋ねるとともに、関連製品の中国市場開拓の可能性について議論した。ある時には話が弾み、中国経済の具体的特徴について論じることもあった。また、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で「国民経済と社会発展の第15次五カ年計画の策定に関する中共中央の提案」が採択されたのちには、この計画のことが自然と話題になった。

ここ20年から30年の取材の中で筆者が得た感触としては、中国経済が労働集約型から技術集約型へと発展モデルを転換させ、さらにはその中でとりわけグリーン・低炭素型の発展を重視してきたことが挙げられる。労働集約型の発展モデルは、当時の中国が生産を行う上で労働力の優位性を十分に生かすことができ、国家の発展政策にも合致していた。一方、技術集約型の発展モデルへの転換後、日本企業と中国の関係に変化が生じるだろう。日本企業は百年以上にわたる技術面での蓄積を持っているが、日本国内ではそれらの技術の応用の場がすぐには見つからず、中国にはそれらを活用する機会がある。日本は世界で最も早くから環境汚染の問題解決に取り組んできた国であり、その関連技術は21世紀に入って以降、グリーン・低炭素型の特徴を備えるものとなった。これらの技術が中国における発展モデルの転換過程で再び役立つことができる。
労働集約型経済と技術集約型経済を比較すると、後者の方が生み出す利益の規模がより大きく、利潤を得られる期間がより長い。日本企業は第2次世界大戦後の経済成長の過程において労働集約型から技術集約型への転換を成し遂げ、二つの経済モデルについていっそう深い理解と経験を持っている。それゆえに、中国が経済成長のモデル転換を進める過程で、日本企業は中国企業に比べてより速く、よりしっかりとチャンスを生かす能力を備えている。日本企業が「第15次五カ年計画」の内容に関心を抱き、関連するチャンスを速やかに分析しているのはそのためだ。
日本企業の技術を学ぶ
今年の輸入博では、商務部投資促進事務局や日中デジタルビジネス協会などが共催する中日先進技術ビジネスフォーラムが行われた。同催しでは、優理奇ロボット科技(蘇州)有限公司で最高技術責任者を務める李祥明氏が登壇し、ロボットの研究開発における日本企業との協力の必要性について、「ロボットの研究開発だけでなくハイエンドロボットの製造の面でも、われわれは一貫して日本企業を自分たちの教師と見なしており、日本企業から学びたいと強く願っている」と語った。
『人民日報』の報道によると、昨年の中国における産業用ロボット市場の販売数は30万2000台に達し、12年連続で世界最大の産業用ロボット市場の座をキープした。また、同報道では、昨年の中国におけるロボット関連特許の申請数が世界全体の約3分の2を占めたといったニュースも伝えられた。このことから分かるように、中国はロボット分野ですでに強力な研究開発、生産、利用能力を備えている。
筆者は今回の輸入博で、三菱電機の「人工知能(AI)外観検査ソリューション」が大勢のメーカー関係者の注目を集めているのを目にした。これは4台のAIビジョンシステムを備えたロボットからなり、欠陥識別から正確なオペレーションまで全過程のスマート化を実現した検査ラインだ。三菱電機の説明によると、このラインは鹿明科技(蘇州)有限公司と共同で研究開発・製造したものだという。中国国内の比較的多くの企業が研究開発の面で人型ロボットに注力しているのと異なり、三菱電機は中国企業とともに、流れ作業ラインでいかにしてロボットが新たな役割を発揮できるようにするかを模索し続け、ロボットと生産・製造の結び付きを強化している。
輸入博は数多くの日本企業に製品の新たな応用シーンを提供した。旭化成(中国)投資有限公司の五十嵐弘之董事長は筆者に対し、「昨年の輸入博で、当社はフレキソ印刷に関して中国のトップ飲料ブランドと覚書に署名し、それ以降協力の歩みを加速させ、着実に進めることができている」と語った。旭化成の水現像フレキソ樹脂版「AWP™」は、印刷過程で溶剤をほとんど使用しないことから環境負荷が少なく、印刷工程に関わる印刷企業、ラベルメーカー、ブランド各社からすぐさま高い評価を得た。それにより、中日が共に協議して環境に優しい製品づくりを模索する場が実現した。「これは、旭化成が輸入博というプラットフォームで上げた成果のうち、最も優れた事例だ」と五十嵐董事長は説明した。
より広がる中日の協力の余地
中日先進技術ビジネスフォーラムに参加する中ではっきりと感じたのは、今後数年、より正確には「第15次五カ年計画」の期間において、中日の企業によるコ・クリエーション(共創)の本質は、「技術_市場_産業チェーン」の踏み込んだ相互補完関係を形作ることにあるという点だ。中国は大規模な生産能力、幅広いシーンでの応用の経験、コスト面での優位性を提供する一方、日本は精密部品技術、ハイエンド製品、社会問題を解決する先端技術をもたらす。そうして、両国の企業は高齢化や労働力不足といった共に直面する課題を協力して解決し、さらなる発展のチャンスを得ていくのである。
今年の輸入博における日本企業の展示は自動車、エネルギー、化学、マテリアル、電機、電子部品、ゲーム、コンテンツ、飲食、化粧品、銀行、保険など多くの分野にわたる。今後、中日の企業は関連分野でいずれも非常に大きな協力と開拓の余地を有しており、コ・クリエーションは交流の新たな方法となっていくはずだ。
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