8年ぶり 東京に戻った「暖流」

2019-07-26 10:56:59

 

あいさつする『暖流』の王泰平総顧問

 

 中日友好に関係する人々200人余りを都内のホテルに集めて7月4日、ドキュメンタリー映画『暖流』のプレミア試写会が開かれた。放映時間は50分間だったが、観客に大きな反響を呼んでいた。鑑賞した一人の日本のお年寄りは、「どこかで大泣きしたくなったよ」と感激していた。

 
 『暖流』は、中日両国民の真実の物語を記録したドキュメンタリー映画。歴史の体験者とその子孫の口述によって、知られざる物語を紹介している。時は移り去るが歴史は遠のくことない。中日友好に尽くした高潔の士は、今も人々の心の中にさんぜんと輝き、両国の人々の友好は永遠のテーマとなっている。

 
 『暖流』は2011年にクランクイン直後、中日関係の「寒流」の影響を受けた。しかし、企画の胡徳平氏やプロデューサーの徐菲氏、エグゼクティブ・プロデューサーの曽大力氏、制作の徐章然氏、監督の李鷹氏は強い信念で撮影を続けた。中日各界の人々や関係各所の支援を受け、『暖流』はついに固い氷を春の水へと溶かし、全8部(各部1時間)からなる大作が出来上がった。

ゲストの記念写真


 全8部はそれぞれ以下のテーマとなっている。第1部:長河を照らす明かり、第2部:ひらめく黄色いリボン、第3部:氷を溶かす暖かさ、第4部:固い決意で苦難克服、第5部:繁栄迎える東アジア、第6部:友人との巡り合い、第7部、恩格貝(エンゲルベイ)に通じる夢、第8部:天地の間で見守る。その中には、毛沢東や周恩来など古い世代の革命家と日本人の感動的な交流の話や、抗日戦争の戦場で日本人の残留孤児を引き取った聶栄臻元帥の話、解放戦争時に日本の医療関係者が中国の負傷兵を手当て救助した話、新中国成立初期の日本人戦犯と残留日本人の送還を巡る話、国交正常化前の民間交流のエピソード、新中国の建設と改革開放に大きな貢献をした多くの日本人など――感動の物語が多く紹介されている。


 試写会では、元文部大臣・元農林水産大臣の島村宜伸氏、元国土交通大臣の前田武志氏がそれぞれあいさつした。両氏とも『暖流』の製作成功を高く評価し、同作品が日中友好を受け継いでいく上で大きな役割を果たし、新たな時代に入る日中関係の一助となってほしい、と『暖流』の公開上映に期待を示した。

 
 また、「暖流」の総顧問である王泰平氏は以下のようにあいさつした。「『暖流』はドキュメンタリー映画として、戦後の半世紀以上にわたる中日両国と国民間の友情と心温まる物語をありのままに記録している。そこで語られている感動を呼び魂を揺さぶる多くの物語は、プロデューサーが大変苦労して探し当てたものだ。この『暖流』は、両国民の精神的な財産ともいえる貴重なものである。時がたつにつれ、その価値は高まっていくだろう」


 また王氏は、次のように強調した。歴史は一番良い教師で、歴史を忘れてはいけない。鄧小平氏は、かつてこう述べたことがある。「歴史は全体を見て語ることが大切だ。日本の中国侵略の話もすれば、日本の人々や多くの日本の友好人士が中日友好のために頑張った歴史も語らねばならない。こうした人たちはたくさんいる」。このドキュメンタリーは、隠れた感動ストーリーや、中日交流史に記された人や出来事、また記されなかったものを忠実に記録し、両国の多くの人と分かち合うことを目指して作られた。

 さらに王氏はこう述べた。中日関係が紆余曲折を経ながら今日までたどり着いたのは、容易なことではない。これは、両国の幾世代の人々がさまざまな困難を乗り越え、ともに奮闘努力した結果である。『暖流』はその縮図にしかすぎないが、われわれに深い示唆を与えてくれる。すなわち、中日両国は一衣帯水で、「風月、天を同じうす(鑑真の言葉、風や月の出る天は同じであるという意味)」である。また、引っ越しのできない隣人であり、切っても切れない気持ちを抱いている。平和共存と代々の友好、互恵協力、共同発展を堅持することは、両国民に幸福をもたらす唯一の正しい選択である。とくに21世紀の今日、国際情勢は激しく変動し、不安定・不確定要素が増え、中日両国の共通の利益と課題はかつてないほど多くなっている。今、戦略的相互信頼を強化し、緊密に手を取り合って協力し、両国関係が長期的で健全で安定した発展を遂げることは、両国と両国民の根本的な利益に合致し、両国にプラスとなるだけでなく、アジアと世界の平和・発展にも貢献する。


 今後、『暖流』は日本と中国で公開上映される予定だ。この映画を観た観客は、きっと歴史の記憶を呼び覚まし、中日友好に取り組む力を得ることだろう。

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