村山富市元首相、「平和を守り、共に未来を築く」記念シンポジウムin福岡へ書面でメッセージ

2025-10-21 14:26:00

「平和を守り、共に未来を築く」記念シンポジウムin福岡に、ご出席された皆様に、心から敬意を申し上げます。 

さて、「光陰矢のごとし」と言いますが、私が内閣(村山内閣)を率いていた時(1995年8月)に、閣議決定を経て、日本国政府の公式見解として「村山談話」を発出してから、はや30年の歳月が流れました。この「村山談話」は、中国・韓国・アジア諸国、あるいは米国・ヨーロッパなど、世界各国の人々や政府から、高い評価を受け続けているようで、光栄なことだと思います。 

日本のかつての同盟国のドイツ、具体的には西ドイツの、ワイツゼッカー大統領は、戦後40年にあたるドイツ敗戦記念日の1985年5月8日に、連邦議会で「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となる」との記念演説を行い、内外に感銘を与えました。 

こうしたことも念頭にあったので私は、総理大臣在任の時に、まさに敗戦50年の節目の日を迎えるにあたり、戦後50年の歴史に、けじめをつける意味で、過去の歴史的事実を謙虚に受け止め、平和と民主主義、国際協調を基調とする日本の針路を明確に闡明する必要があると思い、「村山談話」を、作成する事を、決断したのです。 

多くの方々の協力で、この談話は出来上がりました。特に、当時の自民党総裁であった河野洋平さんのご協力には、感謝しております。 

私の後を継いだ、橋本龍太郎首相以降、今日に至るすべての内閣が「村山談話」を踏襲することを明らかにしていますが、それは当然のことと言えます。 

村山談話には、「我が国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました」との認識が綴られました。 

日本の多くの良心的な人々の歴史に対する検証や反省の取り組みを「自虐史観」などと攻撃する動きもありますが、日本の過去を謙虚に問うことこそが、日本の名誉につながるのです。 

村山談話では、また「わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて平和の理念と民主主義とを押し広めていかねばなりません」とありますが、これは日本国憲法が求めていることでもあります。 

日本と中国の平和友好関係は、アジアの平和の礎であります。 

アジアの平和の根底となる、日本と中国の、末永い良好な関係を築く事こそが、日本の国益を守り、発展させることに繋がるということを強く訴えて、私の挨拶とさせていただきます。  

有難うございました。

 

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