日中友好協会大学生代表団が訪中 発展の脈動感じる交流の旅

2019-04-16 16:25:33

陳蘊青=文

 

 2019年日中友好協会大学生代表団一行の100人余りが3月2127日、中国を訪問し、「科学技術イノベーション」をテーマとする交流を行った。北京、深圳、広州の3都市で、日本の大学生は中国の名勝旧跡や伝統文化を楽しむとともに、「IT起業の揺り籠」とされる中関村創業ストリートと通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を見学した。

 

北京の中関村創業ストリートの展示ホールで、顔認証技術を用いた「顔面偏差値分析装置」で顔面偏差値を測る日本の学生(写真提供・日中友好協会大学生代表団)

約400人の中から選抜

日中友好協会と中日友好協会共同主催の同イベント14年秋に始動して以来、今回が通算12回目の開催。訪中団団長を務めた日中友好協会の永田哲二常務理事によると、今回は日本全国から398人の大学生が応募し、応募者数が過去最多を記録した。今回の交流団に選ばれるためには、日中友好協会が提示したテーマに沿って作文を提出する必要があった。その内容は、大学で学ぶことの意義、中日関係、そして課外実践活動などに関することだった。厳正な審査を経て、最終的に59校の大学から100人の優秀な学生が選ばれた。

永田常務理事は、今回の作文審査で、年長者の印象やマスコミの報道に左右されたくない、中国を自分の目で確かめたいという日本の大学生の意欲が見られたことに喜びを感じると語った。ある学生は、情報を簡単に収集できる時代とはいえ、相手と直接交流したり、異なる文化環境を経験したりすることも非常に重要だという意見を示した。また、中国人の友達をつくりたい、もし若者全員に1人でも中国人の友達ができれば、中日友好は必ず実現できると書いた学生もいた。 

高度成長を実感

22日の歓迎レセプションで、日本大使館の四方敬之公使はあいさつし、「中国は急速に発展し変化している。数年前に中国を訪れた人でも、現在の中国については分からないかもしれない」と述べた。今回の旅で、訪中団の日本人大学生はこの高度成長の一端を感じ取っただろう。

見学のハイライトは、広東省深圳市のファーウェイ本社だった。日本の大学生は数多くのハイテク製品を見て、さまざまな感想を持ったようだ。

 

ファーウェイのスタッフによる解説に日本の学生たちは真剣に聞き入った(写真提供・日中友好協会大学生代表団)

広島大学2年生の川原俊一さんは、「ファーウェイはスマートフォンメーカーとしての側面しか知らなかった。しかし、ICT(情報通信技術)企業として中国のあらゆる生活の土台に浸透している。例えばスマートシティー、金融、エネルギー輸送など。私の専攻はファイナンスだが、金融とITを絡めた学習はできていなかった。今回の経験をきっかけにICTの見地から金融を学んでいきたい」と今後の抱負を語った。

また、京都大学3年生の上野智貴さんは、ファーウェイのイノベーション精神を賞賛し、「ファーウェイの展示や説明の中には、一貫してイノベーション不足への危機意識があった。同社では売上の10%以上もの費用が研究開発費に当てられるという。これは、イノベーションを維持しなければ衰退するという危機意識が根付いているからだ。この企業文化が根底にあるため、ファーウェイは成長を続けているのでしょう」と語った。

一方、北京・上海の中国人大学生と交流した際には、中国の発達したキャッシュレス決済が熱い議論の的になった。

 

国際関係学院の学生と日本の学生との歓談の様子(写真・陳蘊青/人民中国)

筑波大学3年生の中島拓幹さんは次のように議論の内容を紹介した。「中国に来る前、ウィーチャットのようなモバイル決済手段は日本のクレジットカードに似たものだと思っていたが、中国の学生と交流してから、日常生活のさまざまな場面で応用できることに気付いた。中国の学生は普段は財布を持たずに出掛けると言っており、それには大変驚いた。また、両国のキャッシュレス決済発展の現状が異なる原因についても議論した。結論としては、両国国民の貨幣に対する信頼度の差に関係がある。日本でも以前からキャッシュレス決済の方法が数多く出されているが、いずれも社会的信頼性や安全面への配慮のため普及していない」 

百聞は一見にしかず

今回の中国訪問を通して、中国に対する日本の大学生たちの印象は変わったようだ。

広島大学2年生の詫間詩織さんは、次のように感想を話した。「中国に来る前は、中国の空気はとても汚くて、中国人も日本人が嫌いだと思っていた。しかし、今回の旅では、空気も澄んでいるし、街もきれいだし、私たちに対する中国の人々の態度も親切で友好的だと感じた。これによって私の中国への印象がガラッと変わった。同行した仲間たちも共感してくれるはずだ。さらに多くの人が中国に来て、現地の環境や人情を自ら感じれば、きっとこれまでの印象を変えられるだろう。多くの中国人が日本旅行の後、日本への印象を新たにしたということと同じだ。相手の国を自分の目で確かめて、深く理解する重要性を再認識した」

筑波大学2年生の生田陽菜さんは、「交流を通じて、中国の若者の日本に対する印象が良いと知り、自分の持つ印象とリアルな中国の情況が異なることを学んだ。ある中国人の学生は、『日本に対して悪い印象を持っている人は、日本のことを知らないだけ。もっとお互い交流する必要がある』と話していた。今回の交流を通じて、その逆もあり得ると感じた。中国に対して悪い印象を持っている日本人は、中国への理解が足りないだけではないだろうか。中国の街を実際に歩いて、自分の文化を押し付けることの愚かさや、多様な文化を尊重する姿勢の大切さをふと感じた」と交流から得た成果を語った。

旅の最後に、日本の大学生たちは滞在時間の短さを惜しむ声を上げると同時に、さらに中国について知りたい、自分自身で感じた中国の印象をより多くの人に伝えていきたいという気持ちを次々と口にしていた。

 

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