安倍総裁3選 今後3年の中日関係は?

2020-02-21 12:23:25

 

 

日本の自民党総裁選挙が920日に投開票され、安倍晋三首相が石破茂・元幹事長を破って連続3選を果たした。任期は20219月までの3年間。得票数は、首相が553票、石破氏が254票だった。日本では通常、与党第一党の党首が首相として国会で指名されるため、安倍首相は20219月まで在任し、日本憲政史上で最長の政権となる可能性が出てきた。

総裁選で勝利した安倍首相は党大会で、「戦後の日本外交の総決算」を掲げ、憲法改正の実現を目指す意欲を示した。今後3年間、安倍政権は政策の重点をどこに置くのか。中日関係にどのような影響を与えるのか。中国現代国際関係研究院日本研究所の劉軍紅研究員が『人民中国』誌の記者の取材に答えた。

 

――安倍首相は自民党総裁選での講演で、憲法第9条にある日本が「……武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という内容を改正すると強調した。当選後、安倍首相は再び憲法改正の意欲を表明した。これで日本の憲法改正の動きが加速するのか?

劉軍紅:安倍首相が自民党総裁に再選されたことで、歴代最長の政権が実現する可能性が高い。政治家にとっては非常に光栄なことだ。今後3年間、安倍首相は主に従来の政策方針を継続し、すでに得た成果を固め、政治家として歴史に名を残すことに力を入れると思う。例えば、2020年の東京五輪を日本が新たな発展段階に入る象徴とするなど、ポジティブな政治的遺産を残そうとするだろう。

現在、憲法改正について日本国民の意見は大きく分かれている。安倍首相が過去6年間に憲法改正を呼びかけていたが、実際にはなかなか進展しなかった理由の一つは、まさにこれだ。憲法改正によって国民が分裂する危険性を考慮しなければならない。首相としての最後の3年間は、政治的な名誉もあり、有終の美を飾って任期を全うしたいという考えもある。憲法改正という難題には敢えて手をつけず、口先だけで終わる可能性もある。

また、自民党内での憲法改正の先延ばしを求める声にも耳を傾けなければならない。今回の総裁選(国会議員票と党員・党友票の合計)では、安倍首相は553票対254票という大差で石破氏を破ったが、内訳をみると党員投票のうち安倍首相は224票で、石破氏の181票と比べ、わずか43票差だった。つまり、石破氏は党内で一定の影響力を持っており、憲法改正を先延ばしする主張で多くの党員の支持を得たということだ。石破氏が今回の選挙で見せた実力を考えると、党内の力を結集して憲法改正を押し進めようとしても、こうした反対の声を無視することは難しいだろう。

――総裁選で安倍首相が再選された後、「戦後の日本外交の総決算」を掲げた。これは今後3年間、日本の外交政策が大きく変わることを意味するのか。中日関係にどのような影響を与えるか。

劉:安倍首相の「外交総決算」は現在、まだ内容がはっきりしていない。かつて中曽根康弘・元首相も「戦後政治の総決算」を主張したが、結局うやむやに終わっている。

今後3年間、中日米関係が日本外交のカギになると思う。安倍首相は、3国関係の再構築に大きな力を入れる可能性が高い。

現在、日米同盟関係にはヒビが入っている。例えば安全保障分野において、米国は日本により多くの経費を負担するよう求めている。また経済分野においても、米国は日本による貿易赤字に不満を抱き、2国間の自由貿易協定の交渉で強硬な姿勢を示した。これで日米間に摩擦が生じ、両国の距離感がますます広がっている。今や日本は、自からの利益が脅威にさらされていると感じるほどだ。

経済面で見ると、中米両国は日本にとって重要な輸出相手国で、どちらも欠かせない存在だ。日本が米国市場で影響を受けた場合、(貿易相手が)中国に多少偏るのは当たり前のことだ。この場合、より安定し健全で、相互信頼を有する政治的な支えが必要だ。

政治的な安定性の面で見ると、中日米の3国関係の全体的な状況は、以前からアジア太平洋地域の平和と発展に決定的な要素となっている。中米関係、日米関係が不安定になると、中日関係の重要性はいっそう浮き彫りになる。中日米関係が同時に不安定化しないよう、中日関係をより強固なものにしなければならない。

総合的には、安倍首相は今後、中国に対しより緊密な態度を取り、対中関係の安定化、健全化の推進を主導していくと予測している。今後3年間、中日関係の発展は安倍首相の残された任期で最も重要な任務の一つになるだろう。(王朝陽=文)

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