五輪などの国際大会が開催されると中国の義烏が忙しくなるのはなぜ?

2024-07-18 17:04:00

「マスコット『フリージュ』の80%は中国メーカーが製造」「バスケット、サッカー、バレー関連の受注が激増」——。パリ2024夏季オリンピックの開幕が近づき、中国のスポーツ用品は輸出のピークを迎えている。

浙江省義烏市にある中国義烏国際商貿城の関係責任者は、「五輪やサッカーのワールドカップなどの大きな大会が開催されると、『メイドイン義烏』はいつもクリエイティビティを発揮して、市場で人気を博している。一方で、業者側も受注が増加する中で、『大会経済』への自信を深めている。大会の開催地がどこであれ、受注が激増するのはいつも義烏だ。『大会経済』がヒートアップし続けるのにともない、義烏ではバスケット、サッカー、バレーなどのスポーツ用品の受注が激増し、一部の業者はサッカー関連の売上高が50%以上増加した。スポーツ用品だけでなく、応援タオル、サッカーファンのかぶるカツラ、応援棒など五輪関連製品の売り上げも好調だ。義烏税関がまとめた最新の統計データによれば、今年1-5月に、義烏のスポーツ用品・関連設備の輸出額は、前年同期比44.4%増の41億元(1元は約21.4円)に達した。

中国国際発展知識センターの副センター長で国務院発展研究センターの魏際剛研究員は、「早くも2022年のカタールワールドカップの会期中に、中国企業は強い存在感を示していた。準決勝や決勝などの重要な試合が行われたルサイル・スタジアムは、中国鉄建股份有限公司が設計や施工などを総合的に請け負って建設したものだ。競技会場以外にも、中国企業はカタールの電力供給や水供給などのインフラ建設に深く関わり、カタールワールドカップの安定した開催を保障するために貢献した。ここ数年間に行われたすべての重要な国際スポーツイベントには、メイド・イン・チャイナが欠かせなかったと言える」と述べた。

また魏研究員は、「国際スポーツ大会の会場は選手にとっての競技場であるだけでなく、スポーツ用品のイノベーションと世界トップレベルの能力を示す舞台でもある。小さなものでは卓球のボール、バーベル、重量挙げプラットフォーム、競技用床材から、大きなものでは競技が行われる体育館や太陽光発電所の建設まで、国際スポーツイベントでメイド・イン・チャイナが活躍する姿は、中国の整った製造業産業システムと高効率のサプライチェーンが世界で評価されていることを証明するものであり、また中国企業の海外進出の歩みが加速していることの表われでもある」との見方を示した。

国際大会が開催されると、中国のスポーツ用品の輸出が爆発的に増加するのはなぜか。

整った産業チェーン、持続的な技術イノベーション、グリーン・低炭素の発展理念により、中国企業は国際スポーツ用品市場で人気を集めている。

1本の2グラムにも満たないカーボンファイバースポークが、350キログラム以上の重さを支える——厦門(アモイ)鴻基偉業復材科技有限公司が生産した炭素繊維のスポークは、登場以来、市場でずっと高い人気が続いている。世界で売上トップの炭素繊維製品の生産加工企業として、同公司は現在、世界の市場に出回るカーボンファイバーの自転車リムの20%を生産し、自転車とバイクのスポーク、ハンドル、フレームなど各種部品も生産する。同公司の会長兼社長の王夢君氏は、「現在、ツール・ド・フランスで使用される自転車には、当社の部品が使われている。製品の品質が非常にしっかりしていることから、顧客の評価が高く、製品の供給不足が続いている」と述べた。

企業自身が確かな実力を備えていることのほか、中国の良好なビジネス環境もスポーツ用品の海外進出を後押ししている。

江蘇省では、より多くのスポーツ用品輸出企業が「大会経済」の商機をしっかりつかむため、淮安税関が加工貿易企業に包括的な政策指導サービスを提供し、国内販売の手続きを簡素化・集中させ、加工貿易の制限類商品における担保の提供を暫定的に停止するなどの政策ボーナスの還元を行っている。統計によれば、今年1-5月には、淮安市の各種スポーツ用品の輸出総額は前年同期比25.4%増の2億7000万元に達した。広東省では、デジタル技術に対する支援が持続的に強化され、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能(AI)などの新世代情報技術とスポーツ産業との深い融合が実現し、スポーツ用品は絶えず先端化、スマート化しながら発展している。今年1-4月には、広州税関管轄区域にある企業のスポーツ用品・設備輸出額が累計15億9000万元に達した。(編集KS)

「人民網日本語版」2024年7月18日