中国経済を観察する3つの視点

2024-10-30 16:23:00

現在の中国経済については様々な見解があるが、ここでは3つの視点を紹介する。 

■「底打ちと安定化」の視点から見た成長 

現在、多くの経済指標に若干の改善が見られ、プラスの兆候が強まり続けている。多くの経済学者は、中国経済には底打ちと安定化の状況が見られるとしている。

需要サイドを見てみると、9月の社会消費財小売総額の前年同期比成長率は8月から1.1ポイント上昇し、固定資産投資の成長率も第1-3四半期(1-9月)は1-8月の数値と横ばいで、下げ止まりと安定化の動きが見られた。第1-3四半期の輸出は6.2%増加し、9月末時点の外貨準備高は3兆3000億ドル(1ドルは約153.2円)に回復した。経済を牽引する消費、投資、輸出の「トロイカ」が加速度的に力を蓄え、相乗効果を発揮しており、世界第2位の経済大国は比較対象となる基数が高いながらも比較的速い成長を実現し、新たな原動力が大きく成長し、経済構造が一層最適化され、中国経済を支える基盤はさらに堅固になっている。

供給サイドに目を向けると、9月の規模以上工業(国有企業または売上高500万元以上の非国有企業)の生産額(付加価値ベース)は前年同期比で5.4%増加し、4ヶ月続いた下落に歯止めがかかり、8月より0.9ポイント回復した。サービス業生産指数は5.1%増加し、8月から0.5ポイント上昇した。製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.8%で、8月より0.7ポイント上昇した。これらのマクロ指標の底打ちからの改善は最も直接確認できるプラスの要因であり、中国経済の「安定の中で好転」という状態が続いていることを明確に示している。

現在の経済運営には新たな状況や問題もいくつか生じているが、これらの困難は発展やモデル転換の過程での問題であり、努力によって十分に克服可能なものだ。

■政策パッケージの視点から見た経済調整効果 

9月26日の中国共産党中央政治局会議は、経済の安定成長という強いメッセージを発し、「政策強化」と「改革推進」を合わせた政策パッケージを統合的に打ち出した。その効果は現れ始めており、社会の期待や市場の信頼は回復しつつある。

国の重要戦略や重点分野の安全能力構築プロジェクトの実施と推進が加速したことで、現在の投資成長の牽引と産業のモデル転換が促進されるとともに、長期的な質の高い発展に向けたより強固な基礎が築かれている。

大規模な設備更新や消費財の買い換えは企業や市民に利益をもたらしており、これは現在の利益となるだけでなく長期的にも有益だ。この二つの政策の実施強化以来、自動車、家電、住宅インテリアなど主要消費財の売上が急速に増加し、関連産業のハイエンド化やスマート化、グリーン化を促進している。

土地、財政・税制、金融などの政策が集中的に打ち出され、不動産の下げ止まりと安定化を後押ししている。既存と新規の政策に力を入れることで効果が現われ、不動産市場の運営におけるプラスの要素が増え続けている。全国統一大市場構築指針の策定が加速し、新たな市場参入ネガティブリストが発表され、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)の打ち出した重要な改革措置の具体的な実行が加速するにつれて、社会全体の活力が効果的に喚起されるだろう。

「中国を過小評価するのは全く賢明でない」。シンガポールのリー・シェンロン上級相は、中国政府の打ち出した措置は信頼と需要を高めるのに役立ち、中国はすでに多くの産業で世界レベルに達していると指摘した。国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストであるピエール=オリヴィエ・グランシャ氏は中国のマクロ政策について「これらの措置の方向性は正しい」と高く評価した。

■「新たな消費者層」の視点から見た発展の勢い 

今年第1-3四半期、中国の新エネルギー車の生産台数は前年同期比31.7%増の831万6000台、販売台数は同32.5%増の832万台だった。中国は新エネルギー車の生産・販売台数で9年続けて世界首位に立った。このデータには今後の消費トレンドも反映されており、これは経済の長期的な好転を支えるファクターでもある。

ドイツ人は新エネルギー車を比較の視点から見ており、現状を見るとともに、将来を一層重視している。あるドイツメディアは消費者の構成と心理を重要なファクターと捉え、「中国人は電気自動車に対してより開放的な態度をとっており、電気自動車の購入者の平均年齢は34歳(EUは56歳)だ。これは、『発展型消費』の将来の潜在力を示している」と報じた。2022年の市場調査によれば、中国の新エネルギー車ユーザーは40歳以下の割合が84%に達し、このうち30歳以下が約半数を占める。確かに、比較すると、中国の新たな消費者層は新エネルギー車をより強く、そして持続的に支えている。

今日の中国では、新エネルギー車、自動運転技術、スマートウェアラブルデバイスから、集積回路、低空域飛行活動による経済形態「低空経済」、バーチャルリアリティ産業に至るまで、新興産業であれ未来産業であれ、科学技術革新を牽引力とし、グリーン・低炭素を指針としていることが顕著な特徴となっている。新時代に入って以来、共通認識から行動へ、投資から消費へ、供給から需要へと、新たな発展理念が「指揮棒」としての役割を発揮し、産業の深いモデル転換と高度化、発展パターンの転換加速を導き、新たな質の生産力と新たな消費者層との「双方向の発展」を後押ししている。

この「双方向の発展」は象徴的な意義を持つ。今日の中国では、最終消費支出の経済成長への寄与率が2012年の55.4%から2023年には82.5%に上昇している。若い世代が消費の主力になり、人口の質の高い発展と国民のハイクオリティな生活が緊密に結びつき、「生存型消費」から「発展型消費」へと移行し、14億人を超える中国人の消費空間が極めて大きく広がっていく中で、消費は常に高度化の勢いを維持していくだろう。これは中国の超巨大市場が有する深いレベルの優位性であり、中国の人口の質の高い発展における長期的な優位性でもある。

実体経済を支える現代的産業システムの構築が加速し、人の全面的な発展と国民全体の共同富裕(共に豊かになること)が着実に推し進められる中で、この「双方向の発展」はさらに深さと広がりを増し、人口の質の高い発展が中国式現代化の包括的な実現を下支えするよう後押ししていくだろう。(編集NA)

「人民網日本語版」2024年10月30日

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