世界を変えた中国の進化と深化の10年
「人類運命共同体」と「一帯一路」のダイナミズム
この歴史的な大転換の最大の誘因は、中国が世界に問い、語りかけてきた「世界のあり方に」にかかわる提起にある。その最も象徴的なものは人類運命共同体の提唱であり、「一帯一路」イニシアティブのダイナミズムである。
「人類運命共同体」はほぼ10年前の提起以降、理念を実体あるものにしていくために数々の努力が重ねられてきた。昨年9月の国連総会で習近平主席は「グローバル発展イニシアティブ」を打ち出し、11月のアジア太平洋経済協力会議CEOサミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を提起、さらに年明けに開催された世界経済フォーラムのテレビ会議で「グローバル発展イニシアティブ」について「全世界に開放された公共財」であり「各国と手を携えて協力し、立ち後れる国がひとつもないよう努力したい」と中国の決意を世界に向けて発信した。まさに息つく暇もなく「人類運命共同体」構築にむけてのビジョンと政策が深められ、進化し、加速している。「立ち後れる国がひとつもないよう努力したい」という習主席による中国の決意の表明は、何にもまして途上国を勇気づけるものとなった。一方、「一帯一路イニシアティブ」は、今では地球をぐるりと取り巻く壮大な「グローバル・イニシアティブ」として躍動している。人類運命共同体の提唱、「一帯一路」イニシアティブ展開のダイナミズムは、まさしくこの10年の中国の歩みと軌を一にしているのである。
「伙伴関係」と新たな国家関係の創造
では、これらがなぜ新たな世界秩序にむけての胎動を予感させるのかである。
その理由の大きな一つは、一般に「パートナーシップ」と訳される「伙伴関係」にある。これはパートナーとはなるが同盟を結ばない、すなわち条約や協定によって縛る関係ではなく、信頼関係に基づいて構築される柔らかな新たな国家関係の「ありよう」なのである。
馬朝旭外交部副部長は9月末の会見において「現時点で中国と国交のある国は181ヶ国にまで増え、中国は110余りの国家・地域組織とパートナーシップを結び、友好関係を拡大し、パートナーシップのネットワークは全世界をカバーしている」と語った。同時にこの会見で馬氏は「中国がグローバル・ガバナンス体制の変革を後押しするのは、『別の体制を構築』するためではなく、現体制をより公正で合理的なものにするためだ。国際情勢がいかに変わろうとも、中国は真の多国間主義を実践する決意を変えず、グローバル・ガバナンスの整備への努力を変えず、多国間協力を推進する行動を変えない」と述べて、中国が「別の体制の構築」をめざしているのではないことを強調した。
しかし、「非米世界」の多くの国々の側の視点に立てば、新たな世界秩序への渇望が募る時代にあることは間違いない。すなわち、こうした新たな国家関係構築の広がりは、新たな世界秩序への胎動を予感させるものになるのである。
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