経済学者が「決定」を解読 4つの分野に投資の潜在力
 「中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)で打ち出された経済体制の改革における重要な進展は、市場資源配分の「決定的な役割」の発揮だ。今後、市場の資源をどのように配分するかは企業家が決めるようになり、政府の活動の重心はマクロ調整、市場の監督管理、公共財の供給に置かれることになる」と、中国国際経済交流センターの鄭新立常務副理事長(中央政策研究室元副主任)は語った...
中央幹部が地方に着任 三中全会後も人事調整が続く
経済体制改革に必要な7方面の成果
中国、国有企業改革の計画の重点が明確に
一人っ子政策緩和、その影響と変化は?
 
   
 
 三中全会は中国の今後の経済体制、司法制度、社会管理体制さらに民生向上、開放拡大、環境改善などの各分野に重要な対策を講じ、改革の全面的な深化の方向を示した。 打ち出された新方針は社会各界各層の注目を集め、専門家、政府関係者、一般大衆から、それぞれの見方を取材した。
 
 
 
基本的な経済制度の整備
   公有制を主体とし、多様な所有制経済を共に発展させるという基本的な経済制度は中国の特色ある社会主義制度の重要な柱であり、また社会主義市場経済体制の根幹である。公有経済と非公有経済は共に社会主義市場経済の重要な構成部分であり、全てわが国の経済社会発展の重要な基礎である...
 
市場・政府関係を適正に
   統一的な開放、秩序ある競争が保証された市場体制の構築は、資源の適正配置において市場に決定的な役割を果たさせる基礎である。科学的なマクロコントロールと効果的な政府治理(管理)は、社会主義市場経済体制が優位性を発揮する上で欠かせない要請である...
 
合理な財政と税務体制
   財政は国家治理(管理)の基礎であり需要な柱である。科学的な財政・税務体制は資源の適正配置、市場統一の維持、社会的公平の促進、国家の長期安寧を実現するための制度的な保障である。立法の整備、職権の明確化、税制改革、安定的な税負担、予算の透明化、効率向上によって、現代的な財政制度を確立し、中央と地方双方の積極性を発揮させなければならない...
 
統一的な用地市場の確立
   都市と農村という二元構造が都市と農村の一体化した発展を制約している主な障害である。全体的なシステム、メカニズムを健全化し、工業が農業を促進する、都市が農村を導く、工農業の互恵関係、都市・農村を一体化した新型の工農業関係、都市・農村関係を構築し、広範な農民に現代化のプロセスに平等に参加する機会を与え、現代化の成果を享受させなければならない...
 
開放によって改革を促す
   経済のグローバル化という新たな情勢に応じて、対内、対外開放を相互に推進し、「引進来(国外から資本や技術の導入)」と「走出去(中国企業の海外進出)」をさらに好ましい形で結合し、国際的、国内的な諸要素の秩序ある自由な流動、資源の有効配置、市場との融合深化を促進し、国際的な経済協力競争への参入、指導面での新たな優位性を育みなければならない...
 
司法制度改革の深化促進
   中国の法治を確立するためには、司法体制改革を深化させ、公正、効率的で権威ある社会主義司法制度を構築し、人民の権益を擁護しなければならない。憲法と法律の権威を擁護するためには行政・執行体制の改革を深化させ、裁判権と検察権の法定・独立・公正な行使を確保し、司法権の運用システムを健全化しなければならない...
 
権利監視と反腐敗制度を
   度的に権力を管理し、事業を管理し、人間を管理することを堅持して、人民に権力を監督させ、権力を太陽の下で運用させる。これが権力を制度のかごの中に閉じ込めておく根本的な策である。科学的に政策決定し、決然と執行し、よく監督された権力運用システムを構築しなければならない...
 
人民中心の文化活動堅持
   社会主義文化強国を建設し、国家的な文化ソフトパワーを増強するためには、社会主義先進的な文化の前進する方向を堅持し、中国の特色ある社会主義文化発展の道を堅持し、人民を中心とする活動方針を堅持し、さらに文化体制改革を深化させなければならない。文化管理体制を整備し、現代文化市場体系を健全化しなければならない...
 
格差是正ための収入再配分
   発展の成果の恩恵をより多く、より公平に全人民に分配するためには、社会事業改革を急ぎ、人民が最も関心を持ち、最も直接的な、最も現実的と思っている利益問題を適切に解決し、人民のニーズを満足させなければならない。教育分野の総合的な改革を深化させ、雇用・起業システム・メカニズムを健全化しなければならない...
 
生態保護の譲れない一線
   エコ文明を構築するためには、系統的で整備されたエコ文明制度体系を構築し、制度的に生態環境を保護しなければならない。エコ文明を構築するためには、系統的で整備されたエコ文明制度体系を構築し、制度的に生態環境を保護しなければならない。自然資源・資産の財産権制度と用途統制制度を健全化しなければならない...
 
   
 
 
三中全会 新機構設立で決意示す
 三中全会コミュニケは、ふたつのハイレベル機構、「改革指導チーム」と「国家安全委」の設置決定を明らかにした。この決定から、改革開放政策の継続的実行のみならず、改革の「全面的な深化」に力を入れる決意を読み取ることができる...
 
三中全会 改革バージョンアップ時代に
 三中全会が発表したコミュニケには「改革」が59回、「制度」が44回、「深化」が30回登場し、世論は今回の会議の歴史的な位置付けを「改革開放時代」入りを象徴する第11期三中全会に匹敵すると評価している。中国の改革はバージョンアップの時代、言わば、より高度な「2・0時代」に突入したと言えよう...
 
三中全会決定 金利市場化加速は政府の権限移譲
 改革開放のスタートから30数年が経ち、中国の商品市場と労働力市場はいずれも市場化という目標を基本的に達成した。資金の市場化における最も重要な内容である金利の市場化は段階的な成果を上げたが、まだ一定の制約も残っている。金利市場化の目標を迅速に達成するにはどうしたらよいかが、市場経済の継続的発展の道のりにおける難題となっている...
 
中国の改革への断固たる決意を読み解く
 「改革の全面的深化における若干の重大な問題に関する中共中央の決定」は発表後、海外メディアの盛んな議論の的となった。世界の主要通信社はいずれも直ちにこのニュースを配信。主要メディアはいずれも大きな扱いで報道し、論評した。大きな反響を呼んだと言えよう...
 
 
(1)管理体制
 廉潔年金制度の構築
 有力な措置を講じて行政許認可を大幅に、実質的に減らす。許認可の必要な項目については、審査期限を設け、期限に達しても未回答のものは同意と見なす。公務員報酬システムを整備する。廉潔年金制度を構築し、重大な過ちを犯していない、または汚職行為が確認されていない者は定年退職後に受給できるようにする。法による行政を着実に実行し、行政訴訟の典型的判例を選び、適切に宣伝する。
(2)基幹産業
 通信産業の再々編
 政府機関による石油製品価格の直接設定を廃止し、原油価格に大幅な変動が生じた際の臨時的介入措置に改める。
  石油・天然ガスパイプライン業務を川上、川中、川下一体化経営の石油・天然ガス企業から分離する。
 通信企業を再々編し、競争力の伯仲する通信運営業者複数を形成する。
(3)土地制度
 土地譲渡収入を追徴し、集団所有地上に建設された住宅の問題を解決
 現有の土地の権利の帰属を踏まえ、農民に集団所有地の処分権、抵当権、譲渡権を与える。
 農村などの集団所有地上にすでに建設された住宅については、状況に照らして一定の土地譲渡収入を追徴し、歴史の残した問題を適切に解決。
(4)金融システム
 預金保険制度を設立
 金融業の参入基準を引き下げ、多元化かつ競争のある金融システムを構築する。
 預金保険制度を設立し、金融機関の破産処理制度を構築する。
 10年以内に人民元を主要な国際決済通貨、投資決済通貨とし、一部市場で国際準備通貨とする。
(5)財務・税制
 「国民基礎社会保障パッケージ」制度を施行
 「国民基礎社会保障パッケージ」制度を施行する。スタート段階の保障パッケージには、名義口座制によって各層の基本養老保険を一本化し、基本養老保険は全国同一の計画を実行すること、医療保険加入補助金については、加入者が他の行政区に移動した場合、上級政府が補助金を負担することが含まれる。
(6)国有資産管理
 国の貸借対照表を作成
 国有資産監督管理委員会は国務院に対して責任を負い、定期的に全人代に活動を報告し、質疑と監督を受ける。中長期的に見て、国有資本と財政資金を含む統一された国の貸借対照表を作成するべきだ。財政剰余金を国有資本に充当しても、国有資本によって財政赤字を補填してもよい。
 現有の国有企業の株式を振り替えて、国有資本投資運営基金を創設する。
(7)イノベーションシステム
 大学の脱行政化を実現
 大学の脱行政化を段階的に実現し、大学理事会、学長、監督機関で構成される大学ガバナンスメカニズムの構築を模索し、教育者に教育運営を任せ、大学運営の自主権を確保する。大学運営の規制を緩和し、外国の一流大学の中国での協力または独立運営を奨励する。
(8)外国関連経済
 基幹産業に国際競争を導入
 エネルギー、通信、金融など基幹産業の対外開放を推進し、競争力ある投資家や経営者を引き入れ、国内競争を先導する。
対外投資体制改革を加速する。対外投資の審査・認可段階を減らし、審査・認可効率を高める。中日韓自由貿易圏を重点に、質の高い自由貿易圏の構築交渉を加速する。
 
「383」改革案は「三位一体の改革構想、8つの重点改革分野、3つの関連改革」を含む中国の新たな改革のロードマップを指す。

 「383」改革案は「中国経済・社会の発展には深いレベルの体制的、政策的弊害が存在する。第18回党大会の打ち出した2020年までに小康(ややゆとりのある)社会を全面的に建設するとの新たな指示と改革開放の全面的深化という新たな任務を達成するため、今後数年間で改革開放、経済発展方式の転換において具体的進展を遂げなければならない」と指摘。

 「新たな改革は活力に富む、革新指向の、包摂的で秩序ある、法治の保障された社会主義市場経済体制の構築が目標であり、市場システムの整備、政府機能の転換、企業体制の革新という『三位一体』改革の推進が具体的措置となる」と強調した。

 
 
 
改革開放の幕を開けた
 思想を解放し、「実事求是(事実に基づいて真実を求める)」の姿勢で、一致団結して前に向かって進むという指導方針を決定。取り組みの重点を社会主義現代化建設に移し、改革開放実行に関する諸政策を決定した。
 
改革は農村から都市へ
 『経済体制改革に関する中国共産党中央委員会(党中央)の決定』を採択。この決定は改革の方向、性格、任務および方針・政策を規定し、経済体制改革を指導する綱領的文書となった。
 
改革の深化へ地ならし
 『価格、賃金改革に関する試案』を採択し、経済環境の整備、経済秩序の整頓、改革の全面的深化という指導方針を決定した。この三中全会は経済改革を一層深化させるための地ならしの役割を果した。
 
市場経済の枠組み策定
 社会主義市場経済体制の基本的な枠組みを策定し、現代的な企業制度の確立、農村経済体制改革の深化、対外開放の拡大などの諸政策の方向を明らかにした。
 
社会主義新農村の建設
 『農業および農村事業の若干の重大な問題に関する党中央の決定』を採択。家庭請負経営を基礎とした「統分結合(集団による統一的経営と家庭による分散型経営の結合)」の二段式経営体制の堅持を提起した。
 
市場経済体制を整備へ
 『社会主義市場経済体制整備の若干の問題に関する党中央の決定』を採択し、非公有制経済の発展、国有企業の改革、政府機能の転換、現代的財産権制度の確立などを奨励した。
 
農村改革で生産力向上
 『農村改革・発展の推進における若干の重大問題に関する党中央の決定』を採択し、農村制度建設の強化、現代的な農業の積極的な発展、農業の総合的な生産能力の向上および農村公共事業の発展加速を提起した。
 
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