滁州 湖沼の恵みと改革の精神 太鼓鳴る明の皇帝の古里
渡り鳥集まる水上の森
池杉湖国家湿地公園は、安徽省滁州市来安県と江蘇省南京市六合区の境に位置し、総面積5800ムーのうち5分の3が南京市、5分の2が滁州市に属している。敷地内には5万本以上の池杉(ポンドサイプレス)があり、1980年代初頭に植えられたこれらの木々は、40年近くの成長を経て、今ではユニークな「水上の森」の景観を形成している。
池杉は根元がつぼのように丸く膨れ、どっしりと根を張っており、真っすぐ上に伸びている。来安県政府は84年、国家森林再生計画に呼応し、雨が降るとよく氾濫していた低地の黄大圩という場所を選び、低い湿地に生育する池杉を導入し、5万本の苗木を植えた。
池杉湖では木製のボートに乗って池杉林の中を散策することができる。水面にさざ波が立ち、静かな環境の中では、ボートを軽く押す波の音と野鳥の鳴き声だけが聞こえてくる。園内の生態レストランでは、新鮮なレンコンや川の幸を味わうことができ、窓の外にはハスの花が咲き乱れ、野鳥がたわむれ、調和の取れた美しい光景が広がっている。
この湿地帯では、うっそうとした池杉林が野鳥にとって格好の生息地となっている。冬になると、ハクチョウの群れが餌を探したり、羽をつくろったり、頭を低くして休んだりしており、時折その鳴き声が冷たい風に乗って長く響く。春になると、サギがやって来る。何千羽ものサギが枝をくわえて林の間を飛び回り、にぎやかな光景をつくり出す。サギはここで巣を作り、繁殖し、ひなを育て、命をつないでいく。現在、園内では102種の野鳥が確認されており、その中には絶滅危惧種や希少種も多く含まれている。年間を通じて生息・飛来する野鳥の総数は10万羽を超え、まさに野鳥の楽園である。
「公園は本来の生態を維持するため、剪定や伐採をしない措置をとっており、倒木であっても、来園者の安全に影響を与えない限り、処理はしません」と、池杉湖森林公園のオーナー・韓匯山さんが教えてくれた。今、この森は 「原生林」の様相を呈している。その中に入ると、両側に広がる池杉の木が厚い垣根となり、人々を都市の騒がしさから完全に隔離してくれる。木々にまだらに生えたコケ、湖面に浮かぶハスやスイレン、湾曲した枯れ木、地面の爬虫類、枝の上に止まった鳥たち――これら全てがここが生命力あふれる大自然の縮図であることを伝えている。木製の遊歩道を伝って池杉林の奥へ進むと、湖面には木の影がゆらめき、サギの親子が悠々と泳ぐ姿が見られる。思わず足を止めて長居してしまう、ほのぼのとした光景だ。
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現在の滁州には、池杉湖湿地公園のような自然と触れ合えるレジャースポットが増えている。滁州市はスローライフな都市づくりに力を入れており、何かと忙しい都会人に生活のペースを落とし、心に休息を与えることを推奨している。このため、滁州市では近年、市内に100以上の新しいあずまやを建設。市民に憩いの場を提供しているだけでなく、あずまやの名前を広く募集し、酔翁亭から1000年以上続いてきた歴史・文化の風情を継承している。
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