気候変動問題で世界の主導的立場へ

2024-02-02 14:50:00

年、世界は「荒ぶる気候」に苦しめられました。厳しい暑さは言うまでもありません。熱波や山林火災、集中豪雨などの災害の頻発、アマゾンでは熱帯雨林が減少し、河川が干上がり、アフリカでは干ばつによる食糧危機、北方地域の永久凍土の急激な融解、北極の海氷面積の縮小、南極の氷床の崩壊、海面上昇による島諸国の居住地の喪失など、危機を告げる事例は枚挙にいとまがありません。中国でも豪雨災害、洪水などこれまで経験しなかった災害に見舞われました。 

グテーレス国連事務総長は昨年7月、国連本部における世界気象機関 (WMO)の報告書の発表に際して「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と語り「劇的かつ早急な気候アクションの必要性」を訴えました。  

この深刻化する気候変動にどう対処すべきか、地球に暮らすわれわれ全体の大きな問題となっています。そして、気候変動への対処は地球規模の脱炭素社会に向けての取り組みと不可分の課題となって私たちの前に立ちはだかっています。 

全地球的課題と利害調整の難しさ 

そんな中、昨年末、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれました。しかし、危機感の共有はできるものの、各国間で利害の調整が難航し、具体的な行動に向けての合意の取り付けは容易ではないという現代世界の現実を、またもや突きつけられることになりました。煎じ詰めれば、現在に至る産業社会の発展の道筋で先進諸国が化石燃料をそれこそ湯水のように消費し、「温室効果ガス」も大量に発生させてきて、今度は、世界の各国一様に削減をというのでは、化石燃料の消費も少なく、温室効果ガスの発生も先進諸国と比較にならない規模の途上国が、これから国の発展、成長を目指すときに容易には受け入れられないというのは無理もありません。 

議論の過程で、「2050年ごろまでに排出実質ゼロを達成するため、公正で秩序ある公平な方法で化石燃料の消費と生産の両方を削減する」となり、石炭火力については「段階的削減」となりました。交通面での排出対策には、走行時に二酸化炭素(CO)を出さない電気自動車(EV)に加え「低排出車」も盛り込まれました。これはハイブリッド車を使える可能性がある表現で、日本が求めたと言われています。さらに、化石燃料の代替として「原子力」が手段の一つとして新たに入りました。これも議論を残す問題となりました。 

結局2週間の会期を1日延長して、2030年までに「化石燃料から脱却する」ことを盛り込んだ合意文書を採択し閉幕しました。世界の経済成長と地球環境、気候変動対策における「調和点」をどう見いだし、いかにして持続可能な地球としていくのか、各国の利害の調整は実に難しいことを見せつけられました。日本では「期待されていた大きな前進とは言えない」と伝えたメディアもありました。 

重要な貢献者に 

そこで中国です。中国からは生態環境部の趙英民副部長を団長とする代表団が参加したほか、個別の会議イベントに丁薛祥副総理、生態環境部の黄潤秋部長らが出席しました。 

COP28の期間中に開催された「世界気候行動サミット」(12月12日)では、丁副総理が習近平国家主席の特別代表としてあいさつし、(1)多国間主義を実践し、国連気候変動枠組み条約およびパリ協定の目標と原則を堅持し、団結と協力を強化し、相互利益ウインウインを実現する(2)グリーントランスフォーメーションを加速し、再生可能エネルギー比率を積極的に高め、従来型エネルギーのクリーン低炭素利用を推進し、グリーン低炭素な生産方法と生活方法の形成を加速する(3)実現に向けた行動を強化し、現有の約束を十分に果たす。特に先進国は発展途上国への資金、技術、能力構築支援を強化し、行動によりビジョンを現実にするという3点にわたって包括的に提起しました。丁副総理は2日に開催された新興国、途上国が参加する「『グループ77カ国(G77)プラス中国』気候変動サミット」にも出席してあいさつを行いました。 

今回のCOP28では連日、各国および若者はじめ各界、各層の議論の場となる「サイドイベント」が開催されましたが、中国は12月9日、「グローバルなエネルギー転換の未来を共に形成」をテーマに開いた「サイドイベント」で「中国のエネルギー転換見通し2023」を発表しました。この報告書で、中国がCOの排出量ピークアウトとカーボンニュートラル(排出実質ゼロ)目標を予定通り実現することをあらためて明言するとともに、「パリ協定」の戦略目標の実行を巡って、エネルギーの低炭素転換の過程でどのようにエネルギー安全保障を確保し、最良の経路選択でより良い費用対効果を得るかなどを重点的に分析、説明しました。(新華社昨年1212日) 

そして、趙副部長は閉幕式のスピーチで、本会議で「UAEコンセンサス」に達したことは、国際社会に力強いメッセージを与え、パリ協定の実現に向けて「重要な一里塚としての意義を持つ」とした上で、中国は「人類運命共同体」の構築に力を尽くし、パリ協定やカーボンピークアウトカーボーンニュートラルの目標達成を進めることを重ねて表明しました。 

ここで私たちが忘れてはならないことは、中国が、「各国の国情に合った最良の転換経路を模索し、包摂的、実務的かつ実行可能なエネルギー転換のコンセンサスを形成することが極めて重要」(解振華気候変動問題担当特使)として、途上国の実情に目を配りながら取り組みを進める立場を鮮明にしていることです。「サイドイベント」で発言に立った国際エネルギー機関(IEA)事務局のウォーリック次長は「新たなクリーンエネルギー経済が急速に台頭する中、中国はプロセスを加速させる重要な貢献者になっている」と述べました。つまり、気候変動問題について、途上国の主張や利害を尊重しながら、世界を先導する立場に中国が立つことになっているということです。 

昨年7月の全国生態環境保護大会において習近平主席は「時代に遅れず世界に目を向け、大国の責任を担い大国の使命感を示し、グローバル環境ガバナンスの参加者からけん引者への重大な転換を実現した」と述べました。こうした発言からも、中国が、すでに気候変動問題における主導的立場に立っていることが伝わってきます。しかし、中国がそんな立ち位置にいることを日本の私たちはほとんど知らずに過ごしています。 

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