包容

2023-11-10 19:20:00

寛容 

潘建=文 

鄒源=イラスト 

にはずっといびきをかく癖があり、それは太った人にはありがちなことで、悩みの種でもあり、気まずい思いをすることでもあった。 

年度研修の受講者の宿泊は、2人1部屋だった。私は遅く申し込んだため、他部署の部長と同室となってしまった。 

夜の食事のとき、私は自分からこのスリムな部長にあいさつをし、自分が夜にいびきをかくかもしれないと言って心の準備をしてもらい、また事前に謝っておこうと思った。でも、彼は他人と話したり、携帯電話を見たりしていて常に忙しそうだったので、話を切り出す機会がまったくなかった。 

夜も更けて就寝したものの、私はベッドの上で絶えず寝返りを打ち、右に左にと顔の向きを変え、寝付けなかった。自分が寝ている間に知らず知らずいびきをかいたら、同室の人がうるさくて寝れないことがはっきり分かっていたからだ。 

私はなるべく息をひそめて、この部長が寝たかどうか耳をそばだてていた。彼が寝付くのを待ってから寝て、いびきをなるべく控えるようにすれば、少なくとも彼を起こしてしまうことはないはずだと私は思ったのだ。 

幸いなことに、あちらのベッドの上からは何の音も聞こえなかった。部長は本当に寝てしまったらしい。そこで私は体を傾け、あちらのベッドの方に背を向けると、ちょうど右向きになった。こうすれば心臓を圧迫せず、呼吸が自由にできるので、大きないびきが出ないと聞いたことがある。 

突然、グーグーというリズミカルないびきの音が聞こえてきて、大きくはなかったものの、部屋の静寂は打ち破られた。私は息をひそめてまた耳を傾けた。間違いない、隣のベッドから聞こえてきている。まさかスリムな部長がいびきをかくとは。 

私は心の中で笑い、右手を真っすぐ伸ばし、左手で軽く枕を抱えて自分の頭にかぶせた。しかし向こうのベッドから聞こえるいびきはどんどん大きくなり、まるでアコーディオンの演奏のようになった。仕方なく私は左手を伸ばして、伸ばした右手と共に人差し指で自分の耳をふさいだ。その後、いつの間にか寝入っていた。 

いつの間にか、私は目を覚ましていた。私は自分も同じようにいびきをかいていたことを知った。なぜなら枕によだれの跡があったからだ。続いてベッドの上で寝返りを打ち、またいつの間にか寝入っていた。 

朝、目覚ましが鳴って起きると、隣にいた部長はベッドの上に横たわって携帯電話をいじっていた。私は彼に何か言おうと思い、口先まで出かかったが、のみ込んでしまった。 

部長は私が起きたのを見ると、彼も何かを言おうとしたようだが、それはのみ込んで、私に笑い掛けて言った。 

「起きて、朝ご飯を食べに行こう」 

私はすぐに起き上がり、顔を洗いうがいをして、一緒に朝ご飯を食べに行った。 

その日の研修が終わって、また寝る時間となった。私はもう部長が寝るのを待つことなく、自分も少し疲れていたようで、すぐにぐっすりと寝入った。 

3日にわたる研修最後の日、お昼ご飯を食べ終わると解散となり、それぞれ帰り支度にかかった。私が部屋で荷物を片付けていると、部長が私の前に来て、ほほ笑んで小声で言った。 

「この数日、君には悪いことをしたね。夜のいびきがひどかっただろう。今晩家に帰ったらよく寝てくれたまえ」 

私はもちろん、よく分かっているとばかりにうなずいた。私に何が言えただろうか。これは互いへの寛容と思いやりなのだ。 

翻訳にあたって 

中国語の「分管领导」とは、中国の行政機関において、ある分野あるいはある部門を統括する人物のこと。かなり上級の管理職といえるが、日本語に訳すのは難しい。しかしここで必要なのは、「自分よりもかなり上の役職に就いている人物」というイメージであるため、「部長」という言葉を使ってみた。 

(福井ゆり子) 

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