鵜飼の技と民謡の調べ彩る 世界に名だたる水墨画世界

2024-03-14 14:45:00

開放的な陽朔の人々 

11カ国語を話す「ママムーン」 

 現在、チワン族が暮らす陽朔高田鎮では、多くの若者が山歌会の場所として月亮山を選んでいる。その高くそびえる峰には大きな丸い穴があり、光がそこを通ると、丸い月が高く掛かっているように見えるため、「月亮山」と呼ばれるようになった。中秋節の夜には、山の上でも下でも歌声が絶えることなく流れる。天上の月と山上の「月」が引き立て合う光景を見ようと、国内外から観光客が押し寄せている 

 月亮山では80歳近いおばあさんが流ちょうな英語で、外国人観光客に月亮山の風景を紹介している。彼女は徐秀珍さんといって、この辺りで有名なガイドだ。観光客からは親しみを込めて「ママムーン(月亮媽媽)」と呼ばれている。 

 「どちらから来ましたか?」。観光客がドイツから来たと知ると、徐さんは自然にドイツ語に切り替えてあいさつする。約20年前、月亮山で水を売っていた徐さんは、外国人観光客と交流する中で、水は英語で「water」ということを初めて知った。小学校3年生の学歴しかない彼女は、その後、英語やフランス語、日本語など11の外国語を、耳で聞いたり、メモを取ったりする方法で20年間独学した。 

 月亮山を訪れる観光客が増えるにつれ、徐さんに観光地のことを聞く人や道案内をしてほしいと頼む人が現れたため、彼女は自ら進んで月亮山のガイドになった。あるとき、カナダ人留学生が月亮山に登っている途中、体調を崩した。それに気づいた徐さんは風油精(ハッカオイル)を塗ってあげたが、報酬はもらわなかった。感動した留学生は徐さんのことを母親のように思い、彼女のメモ帳に「Mama Moon」と書き込んだ。親切で外国語が堪能な彼女は徐々に多くの観光客に知られるようになり、「ママムーン」というニックネームも広まった。 

 現在、徐さんは家族と一緒に地元で農家レストランと客室22室の小さなホテルを経営しているが、ガイドの仕事を心から愛しているため、今でも時々、観光客のために月亮山を案内している。 

異国情緒あふれる通り 

 中国で最初に対外開放された観光都市として、陽朔は早くから門戸を開き、世界各地からの観光客を温かく迎えてきた。碧蓮峰近くの陽朔西街は1674年に建設された古い街だが、古風で優美な南方建築群の随所に異国情緒あふれる景観が見られる。ここのバーやレストラン、工芸品書画店などの内装スタイルはほとんどが「中洋折衷」で、外国語の看板が掛かっている。レストランやバーのウエーターから果物を売るおばあさんまで、流ちょうな英語を話すことができる。 

 ホテルでは陽朔の人々が好きな糍粑(ツーバ)(もち)やビーフンとイタリアンコーヒー、洋食を同時に注文することができる。洋風の売店には中国結びや刺しゅう入りの巾着など中国の伝統的な雑貨が置かれている。古い中国の書画とおしゃれで前衛的なファッションブランドの服が隣接する店舗に陳列されている。肌の色の異なる観光客のグループが道端に座り、一緒にビールやコーヒーを飲んでいる……。東洋と西洋、伝統と流行、古いものと新しいものなど、さまざまな要素が長さ1000にも満たない嶺南の小さな通りに詰め込まれている。 

       * * *  * * *  * * *  * * *  * * *  * * *  * * *  * * *  * * * 

 黄月創さんや徐秀珍さんの世代の人たちは、この数十年間、観光業が陽朔にもたらした変化を目の当たりにし、積極的に変化の波を受け入れ、身を投じることを選んだ。また、彼らと同じような大勢の陽朔の人々も、より多くの人が陽朔を理解するための「名刺」や「窓口」になろうと、今でも努力し続けている。彼らの背後には、はるか昔から変わらない陽朔の美しい山水と、この土地に対する人々の深い愛情がある。 

 

上一页123
関連文章