日中韓3カ国外相会議と中国の近隣外交
「最大公約数」としての未来志向
結論から言えば、3者の「最大公約数」をどう見いだすのかが試された会議だったと感じます。それが「未来志向」という言葉に込められていると言えるでしょう。
「敏感な問題にはあまり焦点を当てず、東アジアの安定を確保するために協力できる点を見極めることになる。対話を続けることが重要だ」、これは今回の外相会議を前にメディアで伝えられた東南アジアの識者のコメントです。
およそ80分に及んだ外相会議の後、議長を務めた日本の岩屋毅外相はじめ中国の王毅外交部長・中国共産党中央政治局委員、韓国の趙兌烈外相が共同記者発表に臨みました。報道ですでに知られていることですが、共同記者発表で、岩屋外相は「日中韓の3カ国は、地域のみならず国際社会の平和と繁栄に大きな影響力と責任を有している。3カ国が未来志向の交流と協力を推進していく意義は大きい」とした上で、次回のサミットに向けて、「相互理解の促進、暮らしを創り、守るための協力、全世代による共通の課題解決の三つの柱の下、未来志向の協力を進めていくこととし、具体的な成果を得るため調整を加速することで一致した」と、まず3者の一致点について包括的に述べました。その上で、朝鮮の核・ミサイル問題はじめ東アジアの安全保障、地域情勢に触れる提起をしたことにも言及しました(日本外務省ホームページによる)。
一方、中国の王毅外交部長は、「国際情勢が混迷し、世界経済の回復力が乏しい中、中日韓はさらに意思疎通を強化し、相互信頼を増進し、協力を深め、地域の平和的発展のために安定化要因を提供する必要があり、その責任も有しているとの認識で一致した」と述べ、会議でのコンセンサスについて、(1)協力の勢いを揺るぎないものにする(2)地域経済の統合を推進する(3)交流と相互学習を深める(4)多国間協力を強化する、の4点にわたって詳細に語りました。また、朝鮮半島問題について、「朝鮮半島の情勢は複雑で敏感であり、不安定・不確実な要素が増えている。われわれは国際社会とともに、朝鮮半島問題の政治的解決を推進し、東アジアの長期的かつ安定的な発展を実現していく」としました。さらに、「今年は戦勝80年。3カ国は歴史を直視し、未来に向かう精神を実践し、中日韓協力の健全かつ長期的で安定した発展を推進することが重要だ」と指摘しました。(人民網日本語版3月24日)
東アジアのこれからへの「示唆」
このように、何よりも一致点を優先することに意を用いて、「未来志向」に重きを置いていることが見て取れます。その上で、「戦後80年」を迎えるに当たり「歴史を直視し、未来に向かう精神を実践し」という王毅氏の言及をしっかりと受けとめておくことが大事だと感じます。そこで、東アジアの未来に向けてという視界で触発を得た示唆です。
今ではすでに過去の話となって記憶が薄れているかもしれませんが、朝鮮半島の核問題を巡って、かつて「6者協議」(6カ国協議)という枠組みがありました。1990年代に朝鮮の核開発問題が浮上して以来、対話により平和的に解決することを目指して、2003年6月の米中朝3者協議の後、8月に日本、韓国、ロシアが加わって6者協議となり、以後07年まで協議が重ねられましたが、その後「中断」したままとなっています。この協議が始まるに当たって中国は、朝鮮の核開発問題を指摘した米国と朝鮮の間で話し合いによって解決すべきという原則的な立場に立っていましたが、最終的には中国が議長役を担い、米朝両国の間を取り持って協議の席に着かせることになった経緯がありました。現時点では、朝鮮の核問題に実質的な進展、つまり非核化への道筋は開けていないとはいうものの、当時、東アジアにおける多国間による安全保障メカニズム構築への可能性をはらむものとして「6者協議」に期待がかけられていたことを思い出します。すなわち、東アジアにおける多国間の枠組みによる新たな平和構築メカニズムへの示唆がここにあることを、改めて思い起こすべきだと考えます。これが今回の3カ国外相会議からの重要な示唆の一つだと感じたのです。
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