日中韓3カ国外相会議と中国の近隣外交

2025-03-26 10:31:00

「遠くの親戚より近くの隣人」 

こう考えを進めてきたとき、日本の石破茂首相と中日韓3外相による会談に出席した際に王毅外交部長、「中日韓にはいずれも『遠くの親戚より近くの隣人』ということわざがある。不安定かつ不確実性が増す国際情勢の中で、この東洋の知恵に満ちた格言は協力の現実的意義を一層際立たせる」と語り、「中日韓関係がうまくいけば、地域の平和と安定に対する保障が一層高まる。中日韓協力が深化すれば、地域諸国はさまざまな外部からの課題に効果的に対処できる」と述べたことの意味を改めて反すうすることになりました。 

この「遠くの親戚より近くの隣人」という文脈で喚起されることがあります。今年の第14期全国人民代表大会第3回会議のプレスセンターにおける記者会見で、内外記者の質問に答えた王毅外交部長の言説です。ほんの一部の抜粋になりますが、アジアの近隣外交に関わるところを箇条書きの形で引いておきます。(以下、表記も含め北京3月7日発新華社=中国通信による) 

・アジアは中国の安住の地であると同時に、中国とアジア各国の共通の古里でもある。習近平主席が提唱した「親睦・誠実・互恵・包摂」の周辺外交理念は、中国と周辺国の友好協力を新たな境地に導いた。 

・こんにちの中国は、アジアの安定の重心、経済発展のエンジン、地域安全保障の支柱となっている。 

・近隣同士の摩擦は避け難いことである。歴史的な問題や現実の利益の対立は、適切に処理する必要がある。しかし、われわれは「家が和やかであれば、万事うまくいく」と信じており、「共同の古里」の理念を守り、「運命共同体」の方向を堅持し、対等に協議し、互いに許し合い譲り合えば、必ずや意見の食い違いを解消し、協力ウインウインを行うことができる。中国はまた引き続き一方的な開放を含め周辺国に対する開放を拡大し、周辺国とより多くの発展のボーナスを分かち合う。 

・アジアは大国のゲームの競技場ではなく、国際協力の模範となるべきである。われわれは開かれた地域主義を進め、相互尊重と互恵マルチウインを踏まえ、アジアの発展のチャンスを分かち合うことを主張している。 

・今年は中国人民抗日戦争勝利80周年である。歴史を銘記するのは未来をよりよく切り開くためだ。歴史を次第に忘れるなら、前進する方向を見失うことになる。 

良識と信義誠実による検証を前に、日本は平和憲法の精神を順守し、平和的発展の道を引き続き歩むべきである。中日の往来は長い歴史を持っており、日本は中国が平和を熱愛し、信義を重んじ、善隣を樹立する隣国であることを最もよく理解すべきである。過去1000年以上にわたり、中国が日本にもたらしてきたものは常にチャンスであって、脅威ではない。歴史の大きな変局を前に、隣人としての道は何か、大勢の赴くところは何かを、日本の有識者は熟慮し、良いことを行うべきである。 

長時間にわたる記者会見の全容をここで伝えることはできませんが、中国が周辺外交、とりわけ「隣人」としての日本はじめ東アジアの近隣外交にかける期待とそこでの原則が見て取れるものだと思います。 

「歴史の大きな変局を前に、隣人としての道は何か、大勢の赴くところは何かを熟慮し、行うべきである」という言葉の重さをかみしめる、今回の3国外相会議だったと、世界を見渡して、そしてアジアの情勢、日本の世情を見つめながら受け止めたのでした。 

 

木村知義 (きむら ともよし)   

1948年生。1970年日本放送協会(NHK)入局。アナウンサーとして主にニュース・報道番組を担当し、中国・アジアをテーマにした番組の企画、取材、放送に取り組む。2008年NHK退職後、北東アジア動態研究会主宰。  

人民中国インターネット版 

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