ヌー(怒)族
 

 人口は約2万7120人。
 
 主に雲南省の碧江、福貢、貢山に居住しており、近くの蘭平、維西にもヌー族が集中して居住している地区である。  
 
 ヌー語を使い、この言葉は漢・チベット語系、チベット・ミャンマー語族に属し、語派はまだ確認されていない。各地によって方言が大きく異なり、その結果お互いに交流することができないほどである。自民族の文字がなく、ほとんどの場合は漢語が使われている。
 
 ヌー族の人はかつては万物に霊魂があるとする原始宗教を信仰していたが、一部の人たちはラマ教あるいはカトリック、キリスト教を信仰している。

 ヌー族は怒江、瀾滄江の両岸一帯で生活しているながい歴史をもつ民族の一つである。2種類に分かれ、福貢、貢山に居住するものは、その地域の一番早かった土着民で、自分たちで「阿怒」、「阿竜」と称しており、碧江、瀘水に居住しているのは、麗江、剣川の東から移住して来たもので、自分たちのことを「怒蘇」と称し、涼山のイ族と深いつながりがある。なが年付き合っている中で、この二種類の人たちは互いに融合しあい、次第に怒江地区における一つの民族が形成されるに至った。滔滔と流れる怒江は以前はヌー族と外部とのつながりを遮断し、川を渡る際には危険を冒してロープと丸木舟に頼り以外なかったため、経済の発展が遅れ、アンバランスの状態にあった。20世紀半ばになっても、一部地区のヌー族の人たちはが依然として原始共同体の残存を保ちつづけていた。ここ数十年来、数本の大鉄橋が滔滔と流れる怒江に架設され、現代化した道路が山と川に閉じ込められていた怒江地区の扉を開き、ヌー族の人たちはしあわせで安定した生活を送るようになった。


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